ライフスタイル

サーフィンでつくる破滅型人生を謳歌しよう

考察

家庭もなく仕事もなく、特にサーフィンでお金を得ているわけでもない。生活のほとんどをサーフィン中心に築いているサーファーを破滅型ジャンキーサーファーとここでは定義。そんなサーファーのライフスタイルは彼らにとってどういうものなのか。

サーフィンで壊されるもの

サーフィンにはまると、サーフジャンキー人生が始まる。そんなサーフジャンキー人生で壊されるものを「仕事」「家族」「老後」などの観点で考えていこう。

仕事

サーフィンにのめり込むと日々、波に乗ることを考えてしまう。どこそこに低気圧がある、台風が発生した、ならばどのポイントに行こうか。今度の休みにタイミングは合うか。仕事中でもスマホで波情報を頻繁に見てしまう。さらに、サーファーの多くはサーフポイントまで車を走らせて片道2時間、3時間など当たり前の世界。ポイントにはなるべく早く着き、仮眠を取り、朝一のまだ薄暗い海にパドルアウト。それでも、その日は波がないかもしれない。さらに波が大きすぎることもある。

サーフィンができるかできないかはギャンブルなのだ。こんなサーフライフはサーフィンにのめり込むほど、いつか破綻する。

「サーフポイントの近くに住みたい」「毎日サーフィンしたい」「一日中海に触れていたい」そして、いつしか仕事を辞め波のある海の近くに移住するのだ。

家族

仕事を辞めて、海の近くに移住した、もしくは毎日海に通うサーファーは、独身なら特に問題はないかもしれない。ただ、妻子持ちならことは重大だ。「毎日家にいない」「収入はどうするの」「そんな田舎に行きたくない」「こどもの進学に不利」「私は仕事を辞められない」などの攻撃にあうことだろう。

しかし、サーフィンにのめり込んだ旦那はそんなことに耳を傾けるパワーはない。波乗りに人生のパワーをすべてつぎ込んでいるから。とどのつまり、別居…そして、離婚に発展するかもしれない。

老後

サーフポイントの近くに移住したサーファーは、日雇い労働や季節労働で生活費を捻出する。野菜などちょっとした庭で育て、野菜の自給自足を始める。海の近くに移住したため、サーフィンのための移動経費は押さえられ、フルタイムの仕事をする必要はなくなる。当然、サーフィンする時間が優先なので逆にパートタイム労働にしか手をださない。

さて、体が動くうちはそんなライフスタイルで生活可能でも高齢者になればどうなるののだろう。年金が出るのは65歳から。年金受給額にもよるが、なんとか受給年齢までパートタイム労働で持ちこたえられれば、サーフジャンキーライフもそのあと安定するかもしれない。パートタイム労働も続ければ夢のダフルインカムライフ。

ここで、問題がある。「サーフする」「働く」がいつまで続くのか。二つとも不可能になった場合、ジャンキーサーファーは人生の大事なものを失うことになるかもしれない。このあと、このサーファーは生きていくことができるのだろうか。

その他

サーファー自身の肉体についても問題が起こる。海には害のある生物がいる。クラゲやエイ、サメなどだ。サメは生命の危機にも関わる。思わぬ所にも加害者がいる。それは、紫外線や海そのものだ。肌は日焼けで老化が進み、目にいたっては紫外線だけではなく海水の影響で障害が起こる。耳は海水の度重なる侵入により軟骨が変形し難聴になる。

そして、究極は大きな波で溺死する!?

精神についても問題がある。波の恐怖に対するストレス。サーファーは、さらに大きな波にチャレンジする性質がある。しかし、そこには恐怖と達成感が介在する。その恐怖は過去の経験から生まれたトラウマからくるものだ。大きな波に巻かれて溺れかかったことで、自然の力にはオリンピック水泳選手でも太刀打ちできないと痛感した経験があるのだ。

サーファーは自分の能力と拮抗する、もしくはそれ以上の波が目の前で崩れていると、この海に入るか入らざるかと葛藤を繰り返す。それが知らず知らずのうちに負のストレスになっているのだ。

サーフィン中心の破滅型人生のメリット

では、メリットについて、「生活」「健康」「精神」について考えていこう。

生活

サーフポイントの近くに住み毎日サーフするジャンキーは基本自由生活。特に時間に縛られるのは波の時間に合わせることと、ごく小時間のパート労働。それ以外は自分の生活に介入してくる人がいない。

ジャンキーなら髪はボウボウ、服はボロボロ、どんなに大酒を飲もうが、偏食しようがとやかく言う人間はいない。いても気にならない。同じライフスタイルのコミュニケーションがとれる信頼できる友人さえいれば…。

健康

サーフィンは激しい運動だ。心肺が鍛えられ、こういった運動は認知症の予防に良いとも云われている。当然、ダイエット効果は絶大。

更に、海水には必要なミネラルが全て揃っている。皆さんもご存じのように、このミネラルはありとあらゆる病気に効果があるといわれている。また太陽光線を浴びることでビタミンDが生成される。楽しみながら運動し、高価なサプリメントを使わず、その環境からミネラルやビタミンを黙っていても摂取できるのだ。

精神

水のたてる音は1/f ゆらぎと云われ、人間の情緒を安定させ、難病の治癒力を高め、脳の創造力を高めるなどの働きがあるそうだ。波の砂浜を洗う音、波の崩れる音、そんな中でサーフボードにまたがりゆらゆら揺れる、こんな状態は安らぎと細胞の再生工場の様な物。そこからはリラックスやストレス緩和が得られる。

そんな中、一つとして同じ波がないなか、1本の波をメイクすれば、そこにさらに達成感が付与されるのだ。

まとめ

あなたはサーフィンで破滅型人生を謳歌できますか?

メリットとデメリットの一部を考えてきた。破滅型から生じる多くのデメリットを受け入れつつ、少ないメリットに幸せを感じるあなたは堂々たる破滅型ジャンキーサーファ!

イソップ寓話の一つに「田舎のネズミと町のネズミ」がある。質素で安全な生活を満喫している田舎のネズミと贅沢で危険な生活を送っている町のネズミの話だ。破滅型ジャンキーサーファーはどちらのネズミに当たるのだろうか。それは田舎のネズミだ。田舎のネズミには外敵(人)からの外圧がない。その生活水準は質素であるとしても彼らは十分満足しているのだ。町のネズミはおいしい物がたくさん手に入るだろう。しかし、外敵(人)からの攻撃にさらされ、生きるか死ぬかの生活だ。彼らが生きて行くには他人に対しての処世術が必要となる。それに反して満足度を自分でコントロールして生きていく田舎のネズミは自分自身に対しての処世術に長けているのではないだろうか?そんな人は破滅型ジャンキーサーファーの人生を謳歌する素質がある。さて、あなたはどちらのネズミだろうか。